キスをすると、なぜ身も心もときめくのか?
それは、唇への刺激が非常に密度の高い粘膜の末端神経から、脊髄を通過して脳の中枢に行き、体の各部に興奮が伝わるからです。キスをすると心臓はドキドキし、唇の独特な感触から互いに相手との一体感を感じます。こうなると人間の欲望に火がつき、性欲のスイッチが押されます。
異性とのより深い一体感を求めて、下の口、つまり、膣を使った交流へと向かいます。キスがきっかけとなって、ロマンスからセックスへ移行するのです。こうして互いのセックス的な興奮が高まってくると、口の中の唾液にも化学的な変化が起こります。このあたり、つまりキスによって人間の体内でおこる化学変化について、次に紹介したいと思います
キスは天然のドラッグ
キスは脳内で脳内ホルモン= 脳内麻薬を分泌させ、なんどもなんどもキスをしたくさせます。ここでは、キスが引き起こす体内の変化を詳しく説明したいと思います。
キスをすることで、人間の体にどんな変化が表れるでしょう。最もわかりやすいのが、筋肉。一度のキスで、30 近い筋肉が動くと言われます。そのうち17 は舌に関連のある筋肉です。また9mg の水分、0.18mgの有機物質、0.7mgの脂質と0.45mgのミネラル成分、そして無数の病原菌や細菌、微生物がキスの相手と交換されるそうです。そして3 分間キスをすると、約15 キロカロリーが消費されます。このことを発表したのは、『体のふしぎ事典』の著者であるユルゲン・ブラーター氏。
「人間はキスをするとき30 本ほどの筋肉が動きまくり、これが良い方向に働くと長期的に自信が高まるだけでなく血液循環もよくなる」とプラーター氏は言っています。また、毎朝キスをしているカップルの男性は、事故にあう確立が低く、年収はキスをしていない男性にくらべしていない25%高く、欠勤率も少なく、仕事をバリバリこなすそうです。男も女も、人間はいつでもキスをしたがるものですが、それはキスが「天然のドラッグ」だからと考える科学者がいます。キスによって分泌される脳内ホルモンによって、脳が中毒状態になるからだと言います。
キスを交わすことで分泌される脳内ホルモンの一つ、オキシトシン。このホルモンは恋愛やオルガズム、出産、授乳といった人間の本能的な営みに影響を与え、心理的な感情とも係わり合いが深いとされています。また、イギリスの性に関するコンサルティング会社リレートによると、キスを交わすことで分泌されるもう一つのホルモン、エンドルフィンには、沈んだ気持ちを励ます抗鬱作用があるとしています。というのもキスは何よりも人間に「快楽」を与えてくれるからです。
唇、口は、脳にもっとも近い位置にある性感器官。そしてキスで活性化される神経端末が関与する脳のエリアは、性器( 膣やペニス) と関連している脳のエリアより大きいのです。ウィーン大学の研究によると、目を閉じて情熱的な抱擁のなかで愛する人と唇を重ねるとき、私たちの心拍数は、安静時の毎分60 回から最高130 回まで上昇します。この時に、アドレナリンが放出され、コレステロール値が下がり、またパートナー間で細菌を交換します。さらに、キスによって男性から女性にテストステロンという媚薬が注入されます。
男性ホルモンのテストステロンは男性にも女性にも存在するホルモンですが、この物質は欲情状態を維持する重要な役割をしています。血中に高レベルのテストステロンが存在する男性では、それが唾液に流れでて、長いキスをしていると女性に影響を与えて媚薬の役割をするのではないかと考えられています。
米ラトガース大学の人類学者ヘレン・フィッシャー氏の研究によると、男性は一般に舌を絡ませたウェットなキス( = ディープキス)を好む傾向があるそうです。男性がディープキスを好む理由がこのテストステロンにあります。フィッシャー氏によると、男性は口を大きく開いたディープキスを好むが、これは、無意識のうちに性的興奮を誘発する脳内ホルモンの一種、テストステロンを女性に送り込もうとしているのだと考えることができるそうです。
また、男性は、においと味に対して鈍感であるが、舌を絡ませたディープキスを好むという男性の習性は、この弱点を補うために役立っており、「女性の生殖能力の度合いを確かめるため、女性ホルモンの一種エストロゲンの分泌サイクルを確認しようとしているのかもしれない」と述べています。人間の恋愛感情、性欲、セックスはそのすべてに脳内ホルモンが深く関わっています。恋愛もキスもセックスも、脳内ホルモンによる化学作用と言えます。
さて、ほとんどの男性が大好きなディープキスですが、女性の中にはディープキスが「嫌い」という子もいますので、舌を挿し込み絡めるのは、相手の女性の様子をよく観察しながら行った方が良いです。特に若い女性への最初のキスでは、軽いフレンチキスで我慢しておいた方が、その後の展開のためには良いと思います。また、相手が30代以上の女性の場合でも、いきなりディープはNGです。口元にキスをするまでに右ほっぺだったり、左ほっぺだったり、耳にソフトなキスをしたりと、その後、口にキスをする等、相手をじらしながら、徐々にディープなキスへと進みましょう。